バイオプラスチックだったり生分解可能なプラスチックというのが最近良くでてきます。それらがあればプラスチックの問題は解決するのか、問題点などは無いのかを整理します。
革新的なアイディアで、今までリサイクル不可能と思われてきたもののリサイクルを実現し、多くの無料回収モデルを提供しているグローバル企業のテラサイクルのCEOが書いた「The Future of Packaging: From Linear to Circular」という本ががとても参考になりました。
いろんな言葉が出てきて分かりづらいのですが、バイオマスプラスチックというのは原料が石油由来ではないリニューアルブルな素材のことです。ではそれが生分解(自然の環境で分解されること)かというと、そうではないです。
そして、生分解可能なプラスチック(グリーンプラとも言われています。)だと原料が石油由来ではないかというとそんなことは無いです。整理すると下図のようになります。
バイオマスプラスチックの40%以下しか生分解は可能ではないというのが現状なようです。
生分解可能なプラスチックであればどこでも生分解可能かというとそんなことはなくて、水と酸素が適切にあるような環境ではないと生分解されません。特によく問題になっている海でのプラスチックの問題ですが、今ある生分解可能なプラスチックはほとんど海では分解されません。なので、現状コンポスト用の機械に入れて分解させるというのが現実的です。
視点として忘れてしまいがちなのですが、リサイクルをしている会社はビジネスとしてやっていて、リサイクルした後の製品を誰かが買ってくれるからやるわけです。コンポストする会社であればそれが肥料として売れるからビジネスが成り立つ。では、生分解可能なプラスチックが売れるかというと、そんなこと無いのが現状なようです。上記で紹介した本によれば
コンポスト会社にとっては、コーヒーのカスや、庭ゴミがサンドイッチだとすると、生分解可能プラスチックはダンボールを食べるようなもの
ということで、技術的に食べられるというだけで、(昔芸人さんでダンボール食べてたという人いましたよね)なんの栄養にもならない、誰も買ってくれないようなものが出来上がると。じゃあエネルギーと処理能力を使ってそれを処理したいリサイクル会社があるのかという問題になってきます。
これはバイオマスプラスチックも、生分解可能プラスチックもそうなのですが、一般のプラスチックとしてはリサイクルできないものがほとんどというのが現状です。
先程のマトリクスでいうと、生分解可能ではなく、バイオ由来のものについてはリサイクルが進んできています。
例えばコカ・コーラのPlant bottleはバイオ由来で30%を植物由来のエタノールで作成したものから始まり、100%植物由来のものもリリースされています。
新素材が出てくると必ず考える必要があるのが、「今までの膨大な需要をその新素材で全部カバーすることができるのか」という点です。
その新素材が大きなビジネスになるとするとそのための材料を集める必要がでてきます。大量生産するためにはどこか自然のある土地を切り開いてつくらないといけないということは無いでしょうか。
上記のようにただ分解できる、材料が植物由来ということだけを捉えるのではなく、リサイクルして再度使うところまで含めて全体のフローでみて判断していく必要があります。ではどういうパッケージがいいのかというところに関しては最初に紹介した本から別記事で紹介したいと思います。
仲川 文隆 伸和印刷株式会社代表取締役
環境問題改善へ貢献する会社を目指してインプットした内容を配信しています。
Twitter:@hitonakagawa
伸和印刷
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